個人事業主が入るべき保険・共済まとめ|現役の鉄工所経営者がリアルに解説

個人事業主が入るべき保険・共済をまとめた記事のアイキャッチ画像。シールド・傘・貯金箱・ハート・書類のアイコンと鉄工所のキャラクター 開業・経営者のリアル

個人事業主として独立して分かったことがあります。

会社員時代には当たり前だった保障が、独立した瞬間にほぼゼロになるということです。

会社員なら、病気やケガで働けなくなっても傷病手当金が出ます。

退職すれば退職金がもらえます。

万が一のことがあれば、遺族厚生年金が家族を支えてくれます。

どうも!鉄工所の親方です!

親方
親方

今回は経営のリアルな話を、できるだけ正直にまとめてみたで!

しかし個人事業主には、これらの制度がありません。

自分が倒れたら、収入はゼロ。退職金もゼロ。

家族への保障も最低限の遺族基礎年金だけ。

私自身、鉄工所を開業してからこの現実に直面し、保険や共済を一つずつ整えてきました。

この記事では、個人事業主が検討すべき保険・制度を、優先度の高い順に解説します。


個人事業主の保障が薄い理由

まず、会社員と個人事業主で公的保障にどれだけ差があるかを整理しておきます。

保障内容会社員個人事業主
健康保険社会保険(会社が半額負担)国民健康保険(全額自己負担)
病気・ケガで働けないとき傷病手当金(最長1年6ヶ月、給与の約2/3)なし
仕事中のケガ労災保険(自動加入)なし(特別加入が必要)
障害が残ったとき障害基礎年金+障害厚生年金障害基礎年金のみ
死亡時の遺族への保障遺族基礎年金+遺族厚生年金遺族基礎年金のみ
退職金あり(会社による)なし
失業時の保障雇用保険(失業給付)なし

一目見て分かるように、個人事業主は「なし」のオンパレードです。

特に深刻なのは「傷病手当金がない」ことです。

会社員なら病気やケガで休んでも、最長1年半は給与の約3分の2が支給されます。

しかし個人事業主は、1日休めばその日の売上はゼロ。

1ヶ月入院すれば、1ヶ月分の収入が丸ごと消えます。

この差を理解した上で、自分で保障を組み立てていく必要があるのです。


【最優先】まず入るべき公的制度

① 労災保険の特別加入(一人親方労災)

個人事業主は通常、労災保険の対象外です。

しかし「特別加入」という制度を使えば、一人親方でも労災保険に加入できます。

仕事中のケガや通勤中の事故で治療が必要になった場合、治療費は自己負担ゼロ

さらに休業補償として、給付基礎日額の80%が支給されます。

建設業や製造業など、ケガのリスクが高い業種の個人事業主には必須の制度です。

親方
親方

ワシも鉄工所を開業してすぐに加入したで!

加入は各地域の一人親方団体(労災保険の事務組合)を通じて行います。

月々の保険料は、選択する給付基礎日額によって変わりますが、年間数万円〜十数万円程度です。

② 賠償責任保険

工事や作業中に、お客様の設備を壊してしまったり、第三者にケガをさせてしまった場合に備える保険です。

「自分は気をつけているから大丈夫」と思うかもしれませんが、万が一の事故は誰にでも起こり得ます。

特に現場仕事をしている個人事業主は、賠償額が数百万〜数千万円になるケースもあり、無保険だと一発で廃業に追い込まれます。

また、取引先から賠償責任保険の加入を求められることも多いです。

仕事を受注するための必要経費と考えてください。

③ 国民健康保険 or 建設国保

個人事業主は国民健康保険に加入するのが一般的ですが、建設業や鉄工所など特定の業種であれば**建設国保(建設連合国民健康保険)**に加入できる場合があります。

建設国保は所得に関係なく保険料が一定額なので、所得が高くなると国保より割安になるケースがあります。

自分の所得と保険料を比較して、有利な方を選びましょう。


【重要】退職金の代わりになる制度

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主のための退職金積立制度です。

国の機関(中小機構)が運営しているので安心感があります。

主なポイント:

  • 月々1,000円〜70,000円まで自由に掛金を設定できる
  • 掛金は全額が所得控除の対象(年間最大84万円の控除)
  • 廃業や退職時に共済金として受け取れる
  • 受取時は退職所得扱いで税制上も有利
  • 契約者貸付制度があり、いざというとき事業資金を借りられる

個人事業主には退職金がないので、この制度で自分の退職金を積み立てていくイメージです。

節税効果も大きく、たとえば課税所得が400万円の人が月3万円(年36万円)積み立てた場合、所得税と住民税を合わせて年間約10万円以上の節税になります。

注意点としては、加入から20年未満で任意解約すると元本割れする可能性があることです。

ただし、廃業による解約であれば20年未満でも元本割れしません。

長期で事業を続ける前提で加入するのがおすすめです。

加入手続きは、商工会議所や金融機関の窓口のほか、スマホからオンラインで完結することもできます。


親方
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一人親方って、作業だけやなくて経営のこともせないかんから、最初はほんまに大変やった!

【検討すべき】働けなくなったときの備え

就業不能保険(生命保険タイプ)

病気やケガで長期間働けなくなった場合に、毎月一定額の給付金を受け取れる保険です。

生命保険会社が取り扱っています。

個人事業主にとって最も怖いのは、「死なないけど働けない」状態が続くことです。

入院は1ヶ月で済んでも、自宅療養が半年続けば、半年分の収入が失われます。

会社員なら傷病手当金でカバーできますが、個人事業主にはそれがありません。

就業不能保険は、この「長期の収入ゼロ」リスクに対する備えです。

保険期間は55歳や65歳までなど長期で設定でき、就業不能状態が続く限り給付金が支払われます。

月額の給付金は10万〜50万円程度で設定するのが一般的です。

保険料の目安は、30代男性で月額10万円の給付設定なら月2,000〜3,000円程度。

生命保険料控除の対象にもなります。

所得補償保険(損害保険タイプ)

就業不能保険と似ていますが、こちらは損害保険会社が取り扱います。

違いは、保険期間が1年更新と短く、給付期間も最長1〜2年程度であること。

その代わり、免責期間(待機期間)が7日程度と短いので、短期の休業に対して素早く補償を受けられるのが特徴です。

肉体労働系で短期のケガによる休業リスクが高い人は、就業不能保険と所得補償保険を組み合わせるのも一つの手です。


【重要】万が一の備え

生命保険(収入保障保険・終身保険など)

家族がいる個人事業主は、自分に万が一のことがあった場合の保障を真剣に考える必要があります。

会社員なら遺族厚生年金がありますが、個人事業主の遺族が受け取れるのは遺族基礎年金のみ。

年額約80万円+子の加算で、これだけでは家族の生活を支えるのは厳しいのが現実です。

生命保険にはいくつか種類がありますが、個人事業主が検討すべきは主に以下のタイプです。

収入保障保険(掛け捨て): 万が一のとき、遺族に毎月一定額が支払われるタイプ。保険期間の経過とともに総受取額が減っていくため、保険料が割安です。子どもが小さいうちの保障を厚くしたい場合に向いています。

終身保険・積立型の生命保険: 貯蓄性のある生命保険です。保険料は高めですが、解約返戻金があり、老後資金としても活用できます。

私自身、積立型の生命保険に入っていて、以前ケガで手術をしたときに一時金が支給されました。

個人事業主には傷病手当金がないので、この一時金が出るかどうかで、療養中の資金繰りがまったく違います

実際にその一時金のおかげで、仕事を休んでいる間も事業の固定費を支払うことができました。

生命保険を選ぶ際は、死亡保障だけでなく、ケガや手術の際の一時金・給付金が付いているかどうかも重要なチェックポイントです。


保険料を節税に活かす方法

個人事業主が支払う保険料の中には、確定申告で控除できるものがあります。

保険・制度控除の種類控除上限
小規模企業共済小規模企業共済等掛金控除年84万円(全額控除)
生命保険生命保険料控除年最大12万円(各区分4万円×3)
労災特別加入社会保険料控除全額控除
国民健康保険・建設国保社会保険料控除全額控除
国民年金社会保険料控除全額控除
iDeCo小規模企業共済等掛金控除年81.6万円(全額控除)

特に小規模企業共済とiDeCoは、掛金の全額が所得控除になるため、節税効果が非常に大きいです。

「保障を手厚くしながら税金も減らせる」という、個人事業主にとって一石二鳥の制度です。

iDeCoの口座開設先や始め方の詳細は、鉄工所の一人親方がiDeCo(個人型確定拠出年金)を始める方法|節税しながら老後に備える完全ガイドで詳しく解説しています。


個人事業主の保険、優先順位まとめ

すべてを一度に揃えるのは資金的に難しいかもしれません。

以下の優先順位で、できるところから整えていくのがおすすめです。

【最優先】まず入るべき

  1. 労災保険の特別加入(仕事中のケガに備える)
  2. 賠償責任保険(取引先・第三者への損害に備える)
  3. 国民健康保険 or 建設国保(医療費の備え)

【できるだけ早く】次に検討すべき 4. 小規模企業共済(退職金の積立+節税) 5. 生命保険(家族がいる場合は特に重要)

【余裕ができたら】さらに手厚く 6. 就業不能保険 or 所得補償保険(長期休業への備え) 7. iDeCo(老後資金の積立+節税)


まとめ

個人事業主は、会社員と比べて公的保障が圧倒的に少ない立場です。

「自分は健康だから大丈夫」「まだ若いから必要ない」と思っていても、ケガや病気は突然やってきます。

私も実際にケガで手術を経験して、保険に入っておいて良かったと心から思いました。

特に個人事業主は、1日でも働けなければ収入がゼロになります。

その現実を踏まえて、できるところから保障を整えていきましょう。

保険選びに迷ったら、保険の無料相談サービスを利用するのも一つの手です。

自分の事業内容や家族構成、収入に合わせて最適なプランを提案してもらえます。

大切なのは、「何かあったとき」に自分と家族の生活を守れる仕組みを、元気なうちに作っておくことです。


この記事は、鉄工所を経営する現役の経営者が、自身の経験をもとに執筆しています。保険や共済の詳細な内容は変更される場合があります。加入を検討される際は、各制度の公式サイトや専門家にご確認ください。

親方
親方

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